小学校でタダ券をもらい、ドームに行ったあの日。見慣れない名前の中、一人異彩を放つ登録名がいた。『T-岡田』(本名:岡田貴弘)。名前のインパクトとその豪快な打棒に惹かれ、母に彼のサインが入ったミニバットを買ってもらったその日から、彼とバファローズのファンになった。
別な日に見た試合。ひときわ輝く守備を見せていた人がいた。背番号3,安達了一という選手。野球をあまり知らなかった子どもでも、上手いと思った守備に魅了されていた。そんな二人が、今シーズン限りで引退するという知らせを耳にした。
かなり寂しい。来年からは見れないのだ、彼らの勇姿が。本能のままに雄々しく猛る守備も、ここで決める男に向けられた大声援も、その声援の中高々と打ち上がる打球も。思えばかなりガラガラなドームの中で、その2人はひときわ輝いていた。
毎年、「ゴールデングラブ賞(その年で一番守備がうまかった人)は安達!!」と祈りながら見ても、源田(WBC代表。バチクソ守備がうまい)と今宮(生まれ持つセンスがエグいやつ)に阻まれ、そのたびにおれはハンカチを噛み締めていた。
Tについてもそうだ。プレイヤーズデー(その選手に特に注目する日)で出場がなくても、ケツメイシの「カーニバル」が流れれば大歓声、とてつもない声量と大阪紅牛會(応援団)の熱量むき出しの応援で鼓舞する。
美しいホームランが見れたら万々歳なのだが、なぜか私が現地に行った日はだいたい内野フライなのだ。どうして…といつも思うが、ひとたび遠く遠く派手に飛ばした日にゃ、55点取られようときっとファンはご機嫌で長堀鶴見緑地線で帰るはず。
その二人の影で、しれっと引退発表した二人のことも書いておきたい。
比嘉幹貴というピッチャーがいた。彼は大谷翔平や山本由伸のような本格派投手ではなく、少し変わったフォームから100km/hにも満たないスピードのボールで打者を翻弄させる、いわゆる変則的な投手だ。
Hi-STANDARDの「STAY GOLD」の曲を背にマウンドに上がり、飄々と並み居るバッター達を抑えるその姿は、仕事人でしかなかった。かっこよかった。ビールかけで暴れてたし。
そしてもう一人、終盤の仕事人の小田裕也という選手もユニフォームを脱ぐ。
彼は試合の後半、さらに守備を固めるために出場する。これもまた大事な役目であり、立派なのだ。だがそういった選手にはあまり打席が回ってこない。だけどこの応援歌がめちゃくちゃかっこよかった。歌詞だけでも書かせて。
類い稀なる脚で フィールド走り抜け
さあ奪い取れ さあ行け 疾風(はやて)になれ
この歌詞が本当に好きだった。まさにスペシャリストのための歌詞だな…って。あとめちゃくちゃ大事な試合(勝てば日本シリーズ進出)で見事なバスター(打たないと見せかけて打つ技)を決めたのは、向こう50年はオリファンの間で語り継がれると思う。
長くなってしまった。BIG THANKS,頼れる兄貴たち…
引退試合を思い出してボロ泣きしそうなので、ここで止めときます。またな!!
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